インターネット&PC120%活用:PC活用編

記帳面リバイバル

1 記帳面とは
記帳面は個人事業主用の会計ソフトで、PC-98のMS-DOS上で使うソフトです。
相当な昔、(MS-DOS2.1ぐらいかな)からある有名な会計ソフトなので、使ったことのある方も
いるかもしれませんね。
おじさん宅では、家内が長年これを使用してきました。家内いわく、単純で使いやすいそうです。
今、Windows版があるのかどうかは、知りません。ともかく、おじさん宅のものはMS-DOS用の
ものです。

2 リバイバル計画

(1) 古き良き時代
さて、この記帳面、なにせ古いソフトですから、2フローッピーディスクの機種が前提の仕様になって
おります。おじさん宅では、PC98 VX -->DX と2代にわたって記帳面を使用してきましたが、
これらの古いPC98はもちろん2FDドライブ仕様ですから、何の問題もありませんでした。
が、ついにPC98DXも壊れ、ほとんど記帳面のためだけに(あとTurbo Cのため)、PC9821Xnを
中古(5000円)で購入し、MS-DOSマシンとしました。

(2) 問題発生
皆様ご存知のように、当世のマシンは(PC98Xnももう当世とは言えない程古いけど)、1FDドライブが
当たり前。はて、2FDドライブ仕様の記帳面をどうしたら使えるかという問題に直面いたしました。
家内からは、青色申告の期日も迫っているので、早くなんとかせい、という脅迫をうけ、悩んだ悩んだ。
というわけで、記帳面リバイバル計画をスタートさせたのでありました。

3 記帳面の仕様

(1) 仕様概略
記帳面はシステムディスクとオーナーディスクの2枚になっております。
Aドライブにシステムディスク、Bドライブにオーナーディスクを入れます。

まずやるのは、新年度のオーナーディスクの作成と期首設定です。
通常の手順はまず、前年度のオーナーディスクを元に「複写」コマンドで、新年度のオーナディスクを作成
します。この時、前年度のオーナーディスクをBドライブに、新年度オーナーディスク用のFDをAドライブ
に入れて複写の作業をします。
ここで作成された、新年度用オーナーディスクは、前年度オーナーディスクのベタコピーです。

上で作成した、新年度用オーナーディスクはまだ、前年度のベタコピー(すなわち、前年度のデータが
入っている)なので、新年度用に初期化しなければなりません。それが期首設定です。
その新年度オーナーディスクで、「期首設定」コマンドで期首設定をします。新年度オーナーディスクを
Bドライブに入れ、期首設定コマンドで、期首設定(新年度の登録、前年ど繰越し額設定、各月データの
初期化など)を行います。

期首設定までできれば、あとはデータをうちこんでいくだけです。あと使う主要コマンドは「保存」、「印刷」
ぐらいです。

(2) 仕様詳細分析と問題点
2FDドライブマシンでの通常の作業は上の通りです。
これを、1FDドライブ、1HDDドライブで使用できるようにするため、詳細な仕様と問題点を分析してみました。
(おじさんが試行錯誤しながら行った個人的な分析なので間違っているかも知れない。それはご容赦を)

「複写」
複写は、いわゆる全ファイルのベタコピー(Bドライブ −> Aドライブ)なのですが、複写の前に
FDの初期化を行っているようです。
ここで問題となったのは以下の点です。
PC98は起動ドライブが,Aドライブとなります。従って、HDDドライブから起動すると、HDDドライブがA:
FDドライブがB:になります。
単純にシステムディスクの全ファイルをHDDにコピーして、HDDドライブから起動(HDDドライブがA:)
して、記帳面をたち上げると、複写コマンドが使えない。システムディスクはA:(HDD)、オーナーディスク
はB:(FD)ということになっているが、複写コマンドを実行すると、A:(ハードディスク)を初期化しよう
としてしまう。これは大問題です。
逆に、オーナディスクの全ファイルをHDDにコピーし、FDドライブから起動し、システムディスクはA:(FD)
オーナーディスクはB:(HDD)という形にすると、この場合も複写コマンドが使えない。
複写コマンドを実行するとB:(HDD)をまるごとA:(FD)にコピーしようとしてエラーがでる。

「期首設定」
各月のデータは、記帳面.982 というようなファイルになっています。これは1998年2月のデータをあらわし
ています。例えば、1999年10月は 記帳面.99A というファイルになります。
さて、新年度オーナーディスクで、年度設定を2000年以降にすると、エラーが出てしまいます。どうも、
2000年問題に対応していないようです。
エラー時にできたファイルを見ると、記帳面.$$2のようになっています。
記帳面は、1999年2月のデータを見ようとすると、記帳面.992というファイルを探しにいくようなので、
このエラーでできた 記帳面.$$2 ファイルは読めないファイルになってしまいます。

もう少し、詳しく書くと、年度設定はコンピューターの内部時計の年月日がそのまま反映されています。
内部時計が2001年の時に、期首設定で年度設定をすると、自動的に年度が2001年に設定される
ようになっています。

さて、この問題はとりあえず、コンピューターの内部時計を1999年度以前に戻して使えば、立ち上がる
ということになります。(ただし、年度は1999年になってしまうが)

Config.sys
記帳面のシステムディスクにあるConfig.sysです。


files =20
buffers =20
shell =A:\COMMAND.COM A:\ /P    

他の設定だと、なぜか記帳面の起動が途中でとまってしまいます。起動ディスクのConfig.sysを
これにする必要があるようです。


Autoexec.bat
記帳面のシステムディスクにある、Autoexec.bat

echo off
cls
break off
set NO87=TRUE
set EXBIN=A:\
set EXPROLOGUE=A:\K.EXE   
set EXSHELL=A:\KS.EXE
set KITSYS=A:\
set KITUSR=B:\
set KITDRIVE=1A2B
ex

システムディスクをA:(HDD)、オーナーディスクをB:(FDドライブ)で使用するなら、とりあえず
このままでO.K.



年号.set
システムディスクに、年号.set というファイルがある。
内容は
Y98=平成10年
Y99=平成11年
と言う具合。

このファイルは印刷の時に参照されるようです。設定年度が1999年だと、Y99を参照して、平成11年と
印刷される。
従って、Y99=平成13年 と書き換えると、設定年度が1999年だと、印刷時は平成13年と印刷される。


4 記帳面リバイバル手順

これ以外にも、リバイバルの方法はありますが、一番手間の少ない方法として以下の手順で、記帳面の
リバイバルをしました。

(1) パソコン立ち上げ
HDDディスクからパソコンを立ち上げ、HDDがA:  FDドライブが B: となるようにする

(2) 記帳面のシステムディスクの不要ファイルの処理、変更
システムディスクをB:(FDドライブ)に入れる
おじさんの記帳面のシステムディスクには古いcommand.com(MS-DOS2.1のもの)が入っていたので
これを削除。
B:>DEL COMMAND.COM
次に、Autoexec.bat の名前を適当に変更。ここではkicho.bat にした
B:>REN AUTOEXEC.BAT KICHO.BAT

(3) HDD(A:)のCONFIG.SYSを他の名前に変更。ここではCONFIG.OLDにした
A:>REN CONFIG.SYS CONFIG.OLD

(4) システムディスクのファイルをHDD(A:)にコピー
B:>COPY *.* A:
これで、システムディスクのCONFIG.SYSがHDDにコピーされた。
元からのCONFIG.SYSはCONFIG.OLDになっている。

(5) オーナーディスクのコピーを作成
まず、適当なサブディレクトリをA:(HDD)に作成。ここではKICHO というサブディレクトリを作成
A:>MD KICHO

オーナーディスクをB:(FDドライブ)に入れて、全ファイルを上で作成したサブディレクトリにコピー
A:>COPY B:*.* A:\KICHO

新品のフロッピーをB:に入れて、上で作成したサブディレクトリの全ファイルをコピー
A:>COPY A:\KICHO\*.* B:

(6) 年号.setの書き換え
Y99=平成11年 のところを、設定したい年度に書き換え。これは印刷時対策。

さて、以上で準備は完了です。実際の記帳面の起動は以下の通りにします。
(1) HDDから起動
(2) FDドライブ(B:)にオーナーディスクを入れる。
(3) パソコンの内部クロックを1999年に変更  A:>DATE 1999/1/1
(4) A:>KICHO で記帳面の起動。


というわけで、MS-DOSの知識が多少でもある人ならすぐに理解していただけたと思います。
まあ、これがどなたかのお役にたつかどうか、疑問ですが。
今時、こんな古いMS-DOSアプリ使う人もほとんどいないでしょうから。
でも、おそらくWindows95/98のMS-DOSプロンプトでも同じ手順で活用できるでしょう。

 

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