趣味の宝箱(インターネット活用研究 番外編)

第1次大戦と第2次大戦の比較

文系の学問の基礎は、ある事象の比較(共通点・相違点の抽出)と分類ではないでしょうか。
もしあなたがこれから、大学受験を控えた高校生なら、日本史、世界史の論述問題をちょっと
眺めてみてください。AとBを比較して論ぜよ、CとDに見られる共通点と相違点を述べよ、とか
いう問題がいかに多いことか。

大学受験に限らず、ビジネスの世界でもマーケティングの基本動作は、比較、分類ではないでしょうか。
競合他社品、類似品との比較、分類、自社製品のポジショニングなど。
頭を鍛えたいなら、比較、分類という作業を厭わずにやることを、おじさん個人的にはおすすめします。

そんでは、試しに表題の「第1次大戦と第2次大戦の比較」というのをやってみましょう。
おおざっぱに言えば、どっちも世界大戦なんだから似たようなもんだろ、とか言う人。きっと、いらっしゃる
でしょう。そりゃ、確かにそうだろうけど、いくらなんでも比較したとは言えない。
近代的な兵器を使用して、大量の死者、損害が出たという点で、まあ類似した戦争だよな、と答える人。
いや、それも正しい見解かもしれないけど、それでは100点満点中、5点くらいかな。
比較せよということは、もっと
多面的にそして緻密にやることを要求されます。

おじさんが、ちょっと世界史の教科書をひっくり返して、ざっと表を作ってみました。

  第1次大戦 第2次大戦
戦域 大戦とはいっても主戦場は、ヨーロッパ内
第1次大戦よりはるかに戦域が拡大。ヨーロ
ッパのみならず、アジアも主戦場となった。
背景 (1)ヨーロッパ列強の対立。特に先進的列強であり
既に広大な植民地を有するイギリス、フランスに対し
新興列強国である、ドイツ、イタリアが、植民地
再分割を求めて対立した。
(2)民族主義の対立。パンスラブ主義とパンゲル
マン主義の抗争第1次大戦の直接的な引き金は、
この民族主義の抗争による、オーストリアとセルビア
の戦争である。
(1)ドイツ、イタリア、日本において全体
主義が台頭。国益確保のため、植民地再
分割、対外侵略を目ざす動きが活発となった。
全体主義台頭の背景には世界恐慌による、一般
市民の不安、対外侵略による経済復興を目指そう
という動きが共通してみられる。それらの動きに
ファシスト、ナチス、軍部がのっかった。
損害 戦争により、過去に類をみない損害がでた。特に
戦車、飛行機、毒ガスなど従来とは比較にならない
強力は兵器が登場し、それによる被害は甚大で
軍人だけでなく、一般市民の被害も大きなものと
なった。
兵器は一段と破壊力を増し、戦争による被害は
第1次大戦をはるかにしのぐものとなった。
特に、原子爆弾のような、きわめて破壊力の強い
兵器が登場し、一般市民が何万人というレベル
で犠牲となるケースが発生した。
戦争の
影響
結果
(1)戦争による、国内物資の不足から民衆の生活
が苦しくなり、ロシア革命がおこった。
(2)不十分ながら、民族自決の気運が高まり、
ハンガリーチェコ、ポーランドなど東欧諸国の独立が
認められた。
ただし、非ヨーロッパ地域には認められなかった点
で第2次大戦後の民族独立に比べ、不十分な形で
あった。
(3)国際連盟の成立。国際平和を目指す理念は
第2次大戦後に成立した国際連合と同じだが、
アメリカ、ドイツソ連が加盟せず、軍事力をもたな
かつたため、理念の実現には十分な力を発揮でき
なかった。
(4)主戦場とならなかった、アメリカ、日本は戦争
特需にわき、特にアメリカは債務国から債権国に
転換した。
(1)国際連合の成立。兵力使用による制裁を認め
国際連盟より強力な平和維持活動が可能となっ
た。
(2)イギリス、フランスなどは、多くの植民地を失い
、ヨーロッパのみならず、アジア、アフリカで多くの
独立運動の波が高まり、独立国家が誕生した。
(3)ソ連は、東ヨーロッパ諸国に内政干渉し、
東欧を共産圏化した。これにより、ソ連とアメリカ
を中心とした対立が生まれ、冷たい戦争が発生
した。

おじさんが、高校時代使った世界史の教科書から抜粋して、まとめてみたものがこれです。
これは、すべて教科書の記述のなかからまとめてみました。
これが、正解というようなものではなく、あくまでも、おじさん流に比較、分類してみたものです。
その道の専門家からみると、また違った視点も多々でてくると思いますが、とりあえず、こんな作業を
してみると、一口に「世界大戦」といっても類似点もあれば相違点もあることが容易に把握されてくると
思います。

その外、国際連盟と国際連合の比較とか、院政と摂関政治の比較、中国の税制の変遷とか
比較表を作成し、類似点、相違点の抽出、背景の考察などやってみてもいいかと思います。
この作業は、かなり頭のトレーニングになるでしょう。

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