趣味の宝箱(インターネット活用研究 番外編)

頭を柔らかく(歴史編−西ローマ帝国の滅亡)

頭を柔らかく使うことって、とっても大事。
そんでは、頭を柔らかくするトレーニングしてみましょうか。
一般教養レベルということで話を展開しますので、史学を専攻した人には、つまんない話だと思いますが・・・
今回は歴史から題材をとってみたいと思います。

日本史、世界史が好きと言う人、あんまりいないんじゃないでしょうか。覚えることたくさんあるし。
世界史と聞くだけで、うんざり。その通りですよね。特に、日本の歴史教育(特に、中・高)は
「歴史=暗記科目」みたいになっているので、楽しいわけがない。
あまりに、暗記する事項が多いので、いたしかたないとは言え、自分の頭で考えるという作業がまったく
欠落している。しかし、歴史=暗記 という図式では、頭は固く固くなるしかない。勉強すればするほど、
カターイ頭まっしぐら、ですね。

そんでもって、歴史の試験問題ってこれまた、頭を馬鹿にするような問題がことに多い。
例えば、「悪問だらけの大学入試 」(丹羽 健夫氏 集英社新書)から拾うと、
「僧栄西が日本にもたらしたお茶の製法の最初の工程は何か」
「1944年6月の米軍による北九州爆撃の発進基地と爆撃機の機種を答えよ」
とか。
これ、問題出す方の頭が超悪い。こんなの、できる必要のない問題。できてどうする?
こんなのに、対応しようと思ったら、いくら時間があっても足りない。学校生活、歴史だけ勉強してんじゃ
ないんだから。

さて、今日の本題。西ローマ帝国の滅亡というのは、歴史上大きなトピックですね。それで、試験でもよく
問題にされるところです。
で、どういう問題がでるかというと、案外多いのが、
「西ローマ帝国はゲルマン傭兵隊長(    )によって滅ぼされた。(    )を埋めよ」
「西ローマ帝国を滅ぼしたのは誰か」
とかいう問題。高校入試のみならず、大学の文学部の入試でこの手の出題があるから、恐れ入ります。

答えは、オドアケルだけど、オドアケルを答えさせてどうする。
こういう問題出され続けたら、頭悪くならないのは難しい。
ほんと、こういう教育、問題にさらされ続けたら、自ら問題を発見する力、問題解決能力、常識で考える力
が育つわけがない。日本のビジネスマンの一番の弱点は、自ら問題を発見する力、問題解決能力、
常識で考える力がないことだ、とよく言われるが(おじさんも言われ続けて耳が痛い)、そういう力を育てる
教育がなされてないんだから、どうしようもない。

せめて、「西ローマ帝国滅亡の原因について、300字以内で述べよ」 ぐらいの問題にしてくんないと、
いけないんじゃないでしょうか。
西ローマ帝国というのは、当時の大国ですから、これほどの国が滅びると言うことは、そんなにた易い
ことではない。
日本では、2.26事件の時、軍隊の一部がクーデターをおこし、実際、政府要人が数人暗殺された。
国民におおきな衝撃を与えた事件だけれども、一時的なクーデーターとして、鎮圧された。国がしっかり
していれば、簡単に国家というものは転覆するものではない。
傭兵隊長の反乱ごときで大国が簡単に滅亡するものではないことは、常識を働かせれば、ごく当たり前
にわかることだと思うのですが・・・。
しかし、「歴史=暗記」の図式でいくと、「西ローマ帝国の滅亡=オドアケルの反乱」みたいなことになってしまう。
で、「西ローマ帝国の滅亡=オドアケル」の図式を暗記すると、安心して、それ以上何も考えない、という
パターンが結構おおいのでは。
実際、私の聞いた話では、上の滅亡の原因を述べさせる問いに対して、オドアケルが反乱をおこして、西ローマは
滅亡した、とだけ書いて終わりという答えがものすごく多いそうです。
全然、頭というか常識が働いてないですよね。頭が固くなってる。もっと、やわらか頭でいろいろ学び、考えないと

確かに、滅亡へのとどめをさしたのは、オドアケルでしょうが、傭兵隊長の反乱で国家が滅亡するということは
既に相当、国家として機能が停止していたということです。どうして、国家の機能が停止したのか、という原因の
追求がもっと大事なテーマでしょう。
お暇でしたら、そんでは、教科書、参考書をひっぱり出して、答えを探してみましょうか。

答えがみつかりましたか。
教科書なり、参考書をじっくり見れば、答えは必ずあるはずなので、ここに、くどくどあげたりはしませんが、
原因の一つは、地方(属州)の経済力の向上と独立、一方でイタリア本土の都市の没落でしょう。
すなわち、根底にあるのは、本土イタリアの都市と属州の経済力の逆転ということではないでしょうか。
結局、
今も昔も、国力を支える基礎は経済力であることに、変りはないわけです。
原因はいくつかあるので、あとは、教科書をひっぱり出して、探してみて下さい。

西ローマ帝国に限らず、歴史上の大国の滅亡で、多いパターンは、
中央の経済力の低下
中央の軍事力の低下
地方が次第に、中央の行政から独立。
地方が独自の軍隊をもって割拠
外圧(異民族の侵入)、または、地方の反乱のため国家滅亡
というパターンです。

これ、言われてみればしごく当然のパターンですよね。
そんじゃ、いろんな大国の滅亡のパターンを、このパターンを基準に、比較して見てください。
それぞれの大国の滅亡の
類似・共通点と、相違点をそれぞれ抜き出してみると、これ結構いい勉強に
なると思います。(これをやったら相当の勉強になっちゃうね)
なにか、自分なりに頭のなかに表ができましたか。
僕らが学校で学ぶ歴史はどうしても、政治史中心になりがちで、ひたすら国王の名前を暗記したり、
ということになりがちです。が、ヘンリーだの、ジョンだのより、歴史を動かす根底には、
経済の発展衰退、文化
あるいは
技術の進歩、宗教、思想といったものが、より根源的ファクターとしてあるということが見えたと
思います。

ええと、文系の学問の基礎は、
AとBの比較(類似点、相違点の抜き出し)、分類、事件Aの発生した原因の考察
結果と影響の考察
ではないでしょうか。
歴史を勉強するなら、こういった観点で勉強したら、自分の血と肉になる勉強になるでしょう。(って、まあ受験生
には時間との戦いだとおもうけど)

なにか、やわらか頭になるためのヒントあったでしょうか。
もともとやわらか頭の人には、今更という感じだったかもしれませんが・・・

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